今シーズン、多くのバッグに共通デザインの真鍮パーツが採用されています。
その理由と魅力をデザイナーが語ってくれました。
今、イビサのバッグと言えば、どんな特徴を想像するでしょうか。これまでは、パッチワークやかがり紐といった革の技術が、何よりもイビサらしさを象徴するものでした。今回は、そうしたイビサらしさはそのままに、真鍮による共通のバックルや引き手が登場。 銅と亜鉛の合金である真鍮は、古くから西洋では家具、馬具、客船の装飾品など、日本では神仏具などに使用され、人々を魅了してきました(もっと身近な例では5 円玉が真鍮です)。
イビサのバッグにも真鍮のパーツは時折登場し、鉄製とは違う柔らかい曲線や重厚感で好評を得ています。デザイナーは『真鍮パーツは職人が一つ一つ手で磨いて作るものなので、大量生産には不向き。近年のイビサでは限られたバッグにのみ採用してきた特別な素材でした』と語ります。『イビサ創業当時のバッグの金具はほとんど真鍮だったんです。革と同じように経年変化し、イビサの理念に相応しい素材でした。ブランドとしてさまざまなバッグに使うことを想定した真鍮のオリジナルパーツは新しい試みでしたが、ある意味で原点回帰でもあるのかもしれません』
今回登場した真鍮パーツはバックルが1種と、引き手が2種。どんなデザイン意図があるのでしょうか。『バックルの形状は筆記体の「I 」なんです。イビサの新しいシンボルを目指し、IBIZA のイニシャルを使おうと決めました』。デザイナーは手書きのイラストで方向性を探り、イメージが見えてきたら、それを木型職人に伝えるための立体見本を紙粘土で製作。『イビサにふさわしい温もりや雰囲気を表現するため、あえて自然なひねりを入れるなどしていたのですが、意図した曲線であることが、なかなか伝えられず、何度もやりとりを繰り返しました』バックルの完成品と立体見本を比べると、その再現の具合が見事。デザイナーのぶれないこだわりが伝わってきます。
新たな真鍮パーツは、これまでの金具とバッグデザインにおける立ち位置も違います。『今回の真鍮パーツは仕上げのアクセントではなく、むしろバッグデザインの起点。革のセレクトや全体のデザインも、真鍮パーツが引き立つように工夫しました』。 だからこそ、長く使うほどに存在感をさらに増していくことが期待される真鍮パーツ。ただし、その管理には一つ注意点が。『湿度が高いところでは経年変化が早く進んでしまうので、保管はできるだけ湿気の少ない環境で。革と一緒に味わいがじっくり深まっていくように、ちょっとだけ気を付けてあげてください』
イビサショップでも金具メンテナンスのアドバイスをいたします。ぜひお手元の商品をお持ちの上、お近くのイビサショップにお立ち寄りください。