あのお客様には、こんなデザインが喜ばれるのでは? こうしたらもっと面白いのかも?
イビサのバッグはそんなデザイナーの最初の発想に心を動かされた職人たちと関係者によって形になっていきます。
今回のコレクションで、その象徴的な作品ともいえる、手作りを意味する名の「アルテサニーア」のストーリーをご紹介いたします。
『最初に“透け感”のあるリゾートテイストのバッグを作ろうというイメージがありました。課題は“透け感”をどう表現していくのか。その方法を探る中で「革を使ったかごバッグ」のアイデアを思いつき、製作を進めることになったんです』と振り返るのは生みの親であるデザイナー。
そして、『今年のイビサは55周年。そのタイミングで発表されることになっていたので、私たちのものづくりの姿勢が伝わる作品にしたいとも考えていました』という当初の思いも込められたシリーズ「アルテサニーア」が生まれました。
透け感のあるかごバッグというイメージを形にしていく中で、最大のトピックスは竹細工にヒントを見出したこと。デザイナーは自らさまざまな革紐を編むことを繰り返して検証を重ね、竹細工の技法の「八目編み」という結論にたどり着きました。
『バッグとしての強度を保ち、その上で光や空気の通る佇まい、透け感を美しく感じられるので理想的でした』と語られる八目編みは、機械が一切関与できない複雑な構成。革紐によるシート作りは最初から最後まで手編み職人が行うことになります。
縦紐と横紐に加えて、斜めにも紐を通す八目編みは、人の手にしかできない作業。効率を優先するなら間違いなく選択しない技法でしたが、アルテサニーアは夏らしい透け感やリゾート感を表現するために、それをあえて選んだバッグなのです。
『これは手仕事による透け感の価値を共有できる職人の方々、また手仕事の味わいを喜んでくれるお客様がいて、はじめて実現できる夏のバッグだと思っています。』
作り手が時間と手間をかける、真心を込める。それが使う人の愛着や、物を大事する心につながる。アルテサニーアは丁寧なものづくりのそうした側面を考えながら製作し、だからこそ夏のリゾートの穏やかな光や風が似合うテイストを実現できたバッグ。経年変化のような革の魅力を知っていて、でも夏は軽やかに楽しみたいという人に持ってもらいたいバッグです。